『戦闘機パイロットの世界──“元F-2テストパイロット”が語る戦闘機論』の配信をスタートしました

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《内容紹介》
■元航空自衛隊エースが「パイロット視点で語る戦闘機論」
・超音速からの減速は意外と難しい!?
・飛行時には掛け算すらできなくなる!?
・戦闘機の性能で本当に重要なのは何?
・たくさんの計器(数値)をどのように見ているのか
・高高度まで上がるズーム上昇法とは?
・失速には「よい失速」と「悪い失速」がある?

飛行時の体感から、計器・HUDの見方、エンジンスタートから着陸までの手順、空戦やマニューバー、失速や緊急時の対応方法まで、
“F-2のテストパイロットも務めた”元航空自衛隊パイロットがディープに語る1冊!

■構成
第1章 戦闘機乗りが見る世界
――超音速飛行や高高度、悪天候、夜間の飛行時に、コクピット内はどのような現象が起きるのかを紹介する。加速よりも減速、上昇より下降が難しかったりする。また、空気が薄い高高度まで上昇するには、現代機でもひと工夫が必要となる。
1 超音速飛行/2 高高度飛行/3 悪天候/4 夜間飛行

第2章 戦闘機のコックピットに座る
――戦闘機のコクピットには何十個もの計器が並んでいる(グラスコクピット化された最新鋭機でも数値が表示されるという意味では同じ)。これらが何を表示しているのか、また飛行中にパイロットはこれらをどのようにチェックしているのかを紹介する。
1 コックピット/2 計器類/3 ヘッドアップディスプレイ

第3章 戦闘機で空を飛ぶ
――エンジンの始動から、滑走路へのアプローチまで、飛行手順ごとに紹介する。F-4やF-15、F-2にはそれぞれ癖や特徴もあるようだ。
また、パイロットにはたくさんの速度の種類がある。なぜ複数の種類が必要なのか、それらについても解説していく。
1 エンジン始動~停止/2 エンジンの機能/3 地上でのタキシング/4 地上でのブレーキ/5 離陸・上昇/6 風/7 速度の種類/8 適切な速度/9 空中でのブレーキ/10 微調整を行なうトリム/11 機体重量/12 着陸/13 着陸時のドラッグシュート/14 アレスティング・フックによる地上着陸

第4章 戦闘機乗りが知っておくべきこと
――F-4やF-15、F-2など戦闘機ごとに特性があり、速度帯によって安定性が大きく変わる。そういった飛行機に癖について紹介する。
加えて、パイロット用のマニュアルについても紹介する。
1 機体の癖を知る/2 単位の不統一/3 略語の不統一/4 飛行マニュアル/《コラム》誰でもできるアクロバット飛行講座
第5章 いざ戦闘任務へ
――速度や横転性能、上昇率、レーダー性能など、空戦にはおいて重要な要素とは何か、そのなかでも何が勝敗を決めるのかについて紹介する。また、目視外射撃やドッグファイト、対地攻撃などのHUDモードの見方について解説する。加えて、現代機を大きく変えたCCV機の存在についても触れる。
1 何が空戦の勝敗を分けるか/2 戦闘力と機体性能/3 敵機の視認/4 空中戦/5 Gの話/6 攻撃手順/7 ミサイル誘導/8 高迎え角での射撃/9 対地攻撃/10 オートパイロット/11 CCV機の実力/12 模擬戦闘/《コラム》航空用語の基礎知識

第6章 空で待ち受ける恐怖
――旅客機などと違い、不規則な動きをする戦闘機には危険が伴う。その代表例として、バーティゴ、失速、スピン、そして意外と一番恐ろしい燃料切れについて紹介する。
1 燃料切れ/2 飛行機酔い/3 空間識失調/4 失速/5 失速後/6 スピン/7 パイロットの誤操作

第7章 機体損傷! 最悪の事態を迎えたら
――バードストライクなど事故が起きたときにどうなるか、その対処もあわせて紹介する。また戦闘機では飛行中のエンジン停止は珍しくない。再起動や緊急着陸、緊急脱出など、対処法も解説する。
1 空中での故障/2 吸い込み/3 鳥との衝突/4 空中でのエンジン再始動/5 エンジン停止時の着陸/6 空中脱出/7 地上脱出
■著者紹介
渡邉吉之 (わたなべ・よしゆき)
1951年東京都生まれ。防衛大学校を経て航空自衛隊へ入隊。第8航空団(築城基地)でF-4EJ、飛行開発実験団(岐阜基地)でF-15J戦闘機などのテストパイロットとして勤務。操縦経験機種は各種戦闘機のほか、グライダー、軽飛行機、練習機、大型輸送機、ヘリコプターなど30機種におよぶ。
1990年、F-2支援戦闘機の開発のために三菱重工業に移籍。新製機や修理機のテストフライトを担当し、設計の改善等をアドバイスする。1995年、F-2の初フライトを成功させる。その後、同社の戦闘機の生産拠点である小牧南工場の工場長などを務める。現在は、不動産管理会社で役員を務めたあと、同社にアドバイザーとして勤務。共著に『零戦神話の虚像と真実』(宝島社)がある。
■本文より抜粋
◆音速の壁を超えるまでの過程
ではここで、水平加速の手順をご紹介しましょう。
所望の高度でレベルオフして、スロットルをアフターバーナーレンジに進めます。できればマッハ0.9ぐらいから加速を始めるのが効率的なようです。
マッハ0.95頃から飛行機の特性に変化が見られ始めます。つまり、操縦の要領がちょっと変わるということです。
例えば、F-4ならば縦の静安定(縦方向で姿勢が崩れたときに、元に戻ろうとする安定性)の逆転、F-15なら左ロール、F-2ならば軽い上下振動などいろいろな傾向が出てきます。
その原因はさまざまですが、多くは亜音速と超音速とをつなぐ遷音速特有の現象で、機体の空力中心が移動したことや、部分的な衝撃波の発生などが考えられます。しかし遷音速の領域は狭く、加速中のそうした現象はわずかな時間で消滅してしまいますので、これらに気が付くパイロットはごく少数なのが現状です。
(省略)
マッハ0.98付近から顕著な現象が現れます。高度計など、外気圧を使用する静圧(静止しているときにかかる圧力)系統の計器の異常指示です。具体的には、昇降計の小刻みな振れや、高度計の不自然な指示、速度計の表示の遅れ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示の乱れなどが顕著です。この現象でパイロットは自分が音の壁に近づいていることを知るのです。
■編集担当者のコメント
F-35などの最新機の情報や極秘情報は載っておりません。
操作時の体感やどういった手順でどう操作していたかなどの話は、やはり実際に乗っていた人にしか分からないものであり、非常に臨場感があって面白いと感じました。
著者が使っていた専門用語は極力そのままにし、注をつけるようにしてあります。
文字数:約18万字

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